
働けなくなったときにもらえるお金だよね?
傷病手当金とは、業務外でのケガや病気で休んだ場合に給与の2/3程度が受給できる医療保険の制度です。

ああ、業務中のケガとかなら「労災保険」だもんね。
「国民健康保険」の人も傷病手当金をもらえるの?
国民健康保険には傷病手当金はありません。
傷病手当金は会社勤めの人が加入する健康保険組合、協会けんぽ等に加入している人が受け取ることができます。(自営業者などが加入する国民健康保険では任意給付ですが、市町村の国民健康保険では給付実績はないとのこと。)

ん?じゃあ働いてた会社を辞めちゃったら傷病手当金もらえないの?
会社を退職した後も、引き続き傷病手当金を受け取ることができる「継続給付」という制度があり、継続給付は一定の要件を満たすことで受給することができます。(別の記事で紹介します)

なんだかゴチャゴチャしそうだから、まずは「まだ会社辞めてない人」の場合で考えていこう!
前提の話 ~「会社の健康保険加入」が条件!~
そもそも、働いてれば皆その会社の健康保険に入ってるんじゃないの?というのは間違いで、アルバイトやパートの人の中には会社の健康保険に入っていない人もいます。
<健康保険(社会保険)の加入条件>
① 1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満(フルタイムで働く従業員の週所定労働時間が40時間の企業の場合)
② 所定内賃金が月8.8万円以上ある(残業代・賞与・通勤手当は含まない)
③ 2カ月を超える雇用の見込みがある
④ 学生ではない(休学中の場合や、定時制・通信制の学生は加入対象)

2024年10月から、従業員数「51~100人」の企業等で働くパート・アルバイトの人も新たに社会保険の適用になったんだよね。その前までは100人を超える企業じゃないと適用対象にならなかったんだって。
会社の健康保険に加入していても、傷病手当金をもらうためには条件があります。
↓のような人の場合を想像しながら、条件などを見ていきましょう。

うつ病になって働けなくなっちゃった…
休業ってことでまだ辞めてないから会社の健康保険には加入中だけど…
傷病手当金の支給条件
傷病手当金をもらうには、社会保険の加入者が以下の条件をすべて満たす必要があります。
1、業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
2、仕事に就くことができないこと
3、連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
4、休業した期間について給与の支払いがないこと

有給つかって休んでる間はダメってことね
傷病手当金がもらえないケース
傷病手当金は、以下3つのようにその他の手当を受給している場合、支給が停止または調整される場合があります。
1、資格喪失後に傷病手当金の継続給付を受けているものが、老齢(退職)年金を受けることができるようになったとき
2、障害厚生年金または障害手当金を受けることになった場合
3、労災保険から休業補償給付を受けていた場合

あとで紹介するけど、これらに該当すると完全にもらえないケースばっかりでもなくて、金額調整されてもらえることもあるみたい。
傷病手当金が支給される期間
支給される期間は、支給を開始した日から通算して1年6ヵ月です。
「通算」に変わったのは令和4年1月の改正からです。


労働者にとっては助かる改正内容だね
支給される傷病手当金の額
1日当たりの金額
【支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額】(※)÷30日×(2/3)
(支給開始日とは、一番最初に傷病手当金が支給された日のこと)
(※)支給開始日の以前の期間が12ヵ月に満たない場合は、次のいずれか低い額を使用して計算します。
ア 支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額
イ 標準報酬月額の平均額
・30万円(※):支給開始日が令和7年3月31日以前の方
・32万円(※):支給開始日が令和7年4月1日以降の方
※当該年度の前年度9月30日における全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額

とりあえず、だいたい給与の2/3程度もらえるって認識でいいのかな?
傷病手当金の調整が必要になる場合
ここの話はちょっとややこしいので飛ばしてもOKです!
①~⑤にあてはまる場合、傷病手当金の支給額の一部または全部が調整されます。
①給与の支払いがあった場合
休んだ期間について、給与の支払いがある場合、傷病手当金は支給されません。
ただし、休んだ期間についての給与の支払いがあってもその給与の日額が、傷病手当金の日額より少ない場合、傷病手当金と給与の差額が支給されます。
②障害厚生年金または障害手当金を受けている場合
同一の傷病等による厚生年金保険の障害厚生年金または障害手当金を受けている場合、傷病手当金は支給されません。ただし、障害厚生年金の額(同一支給事由の障害基礎年金が支給されるときはその合算額)の360分の1が傷病手当金の日額より少ない場合は、その差額が支給されます。また、障害手当金の場合は、傷病手当金の額の合計額が障害手当金の額に達することとなる日までの間、傷病手当金は支給されません。
③老齢退職年金を受けている場合
資格喪失後に傷病手当金の継続給付を受けている方が、老齢退職年金を受けている場合、傷病手当金は支給されません。ただし、老齢退職年金の額の360分の1が傷病手当金の日額より少ない場合は、その差額が支給されます。
④労災保険から休業補償給付を受けていた(受けている)場合
過去に労災保険から休業補償給付を受けていて、休業補償給付と同一の病気やけがのために労務不能となった場合には、傷病手当金は支給されません。また、業務外の理由による病気やけがのために労務不能となった場合でも、別の原因で労災保険から休業補償給付を受けている期間中は、傷病手当金は支給されません。ただし、休業補償給付の日額が傷病手当金の日額より少ないときは、その差額が支給されます。
⑤出産手当金を同時に受けるとき
傷病手当金の額が出産手当金の額よりも多ければ、その差額を支給することとなります。

傷病手当金を受け取った後に①~⑤に該当していることが判明した場合は、傷病手当金を返すことになるんだって…!
まとめ
「傷病手当金」とは、ざっくり言うと…
① 会社の健康保険に加入していて
② 業務外の理由による病気やケガの療養のための休業になってしまい
③ 4日以上仕事に就けない人が
給与の2/3程度を通算して1年6ヵ月のあいだ受給できる医療保険の制度
です。

はじめにちょっと書いた、「退職後でももらえるの?」の話もまた今度書きますが、次回は「医療SWが傷病手当金に関わる際の話」を書いていこうかと思います。
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